板金材料の費用、材質別コスト比較|鋼板・板バネ用材料など
精密板金・板金加工に用いられる主な鋼板・板バネ用材料は、材質により材料費用ももちろん違いがあります。
板金加工品の材質・材料選定は、製品用途、使用条件などはもちろんですが、それらの必要条件を満足する範囲でなるべく安い材料を選定することで、製造コストを少しでも安く抑える考慮・設計もとても大切なことと思います。
ここでは、精密板金・板金加工におけるコストや材料費用の材質によるコストの違いなどについてご説明します。
精密板金・板金加工のコスト
精密板金・板金加工のコストは、基本的には材料費と加工費(管理費などを含む)を合算したものがトータルコストとなります。
通常、材料費よりも加工費の方がトータルコストにに占める割合は大きくなるのが一般的です。
特に、精密板金加工においては、曲げ加工・成形を伴う複雑形状の加工となることもしばしばですので、そのような場合には、加工費の割合が大きくなり、トータルコストにおける材料費の割合は、ごくわずかとなることもあります。
しかし、例えば専用金型でプレス抜き加工だけですむような部品や、曲げ加工もなく平板で単純形状かつ製品サイズが大きく、数量もたくさん作る製品などは、加工が単純なため材料費の割合の方が逆に大きくなる場合もあります。
このような場合は、製品の必要条件を満足する範囲でなるべく安い材料を選定することが、精密板金加工品のトータルコストを安く抑えることに大きく貢献します。
板金材料費用の違い、材質別コスト比較
各種鋼板や板バネ加工用材料など、主な板金材料の材料費コストを、以下のように相対的に比較してみましたので、材料・材質選定などの参考にしていただければと思います。
- SPCC鋼板 t1.0 : 比率 = 1
- SECC鋼板(ボンデ鋼板等の電気亜鉛めっき鋼板) t1.0 : 比率 = 1.4
- SGCC鋼板(シルバージンク等の溶融亜鉛めっき鋼板) t1.0 : 比率 = 1.4
- A5052P(アルミ板) t1.0 : 比率 = 4
- SUS304-2B(ステンレス鋼板) t1.0 : 比率 = 6
- SUS304-#400片研(ステンレス鋼板) t1.0 : 比率 = 7
- SUS304-HL(ステンレス鋼板) t1.0 : 比率 = 8
- 真鍮板(C2801P) t1.0 : 比率 = 9
- 銅板(C1100P タフピッチ銅) t1.0 : 比率 = 12
- ステンレスばね材(SUS304-CSP) t0.5 ※板バネ利用 : 比率 = 12
- りん青銅板(C5191P) t0.5 ※板バネ利用 : 比率 = 19
- ばね用りん青銅板(C5210P) t0.5 ※板バネ利用 : 比率 = 20
- 焼入れリボン鋼(QSK5) t0.5 ※板バネ利用 : 比率 = 22
- ベーナイト鋼(ベイナイト鋼) t0.5 ※板バネ利用 : 比率 = 23
- ばね用ベリリウム銅板(C1720P) t0.5 ※板バネ利用 : 比率 = 35
- 上記材料・材質コスト比較の条件など
- ●板厚t1.0のSPCC鋼板の定尺板から、100mm×100mmサイズをカットした場合の材料費を基準(1)とし、それと同じ条件(t1.0×100×100サイズ)の材料費と比較したものが”比率”の数値となります。
●ただし、”※板バネ利用”の材料については、それぞれの小板(コイタ)から、板厚t0.5の同サイズをカットした場合の材料費で比較したものが”比率”の数値となります。(”※板バネ利用”の材料は、t1.0では用途として板厚が厚すぎて利用頻度が低いため)
●”比率”の数値そのものは、おおよその参考程度として理解してください。材料費の変動もありますし、材料の仕入れ方、板厚などの条件が変われば比率も大幅に変わりますので、あくまで目安とお考えください。
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