薄板精密板金加工のよろずや-精密板金 wiz(ウィズ)produced by (有)長井技研

精密板金・板金加工の解説・説明

ここでは、精密板金 wiz(長井技研)のメインとなる仕事である精密板金・板金加工について、詳しくご説明いたします。


板金加工とは|板金の種類・分類

一般に、板金とは(板金加工とは)、英語では、『Sheet Metal(シートメタル)』などと言い、金属板を切断(カット)し、穴を開けたり、ネジ穴をあけたり、曲げたり、溶接などの加工を施して製品・部品を成形することを言います。

板金(板金加工)は、用途・目的などにより分類すると、以下の三つに大別することができます。

自動車板金
自動車ボディーのキズやへこみの修理でいうところの板金加工。主に打ち出し板金など。
建築板金
住宅・建築物などの外装仕上げ(屋根、雨どい、外壁など)の施工・工事など。
機械板金
電子機器、通信機器、半導体製造機器、コンピューター機器、省力化装置等の部品及び筐体(シャーシ)などを製造するための板金加工。一般に、自動車板金や建築板金に比べ、高い加工精度・寸法公差が要求される板金。

精密板金とは

精密板金とは、上述の分類で言えば、機械板金に分類される板金加工になります。
精密板金の厳密な定義はないようですが、一般には自動車板金や建築板金とは区別されます。

板金、或いは板金加工と言えば、日常的に身の回りで目にするものとしては自動車板金や建築板金の方がなじみがあると思いますが、加工設備・材料・方法・大きさ・加工精度などの面においても、精密板金(機械板金)とは違いがあります。

一般に精密板金では、板厚t3.0程度までの薄板金属を用いた部品・筐体(シャーシ)製品などが多く、厳しい寸法公差(決められた寸法よりはずれてもよい範囲のこと)・加工精度が要求され、多くの曲げ箇所を伴う複雑形状となる板金部品となることもしばしばです。

また、素材として用いる板金材料・材質に関しても、自動車板金や建築板金では鉄板(鋼板・処理鋼板)やステンレス板、アルミ板などが主に用いられる板金材料・材質ですが、精密板金においては、それ以外に真鍮板(黄銅板)や銅板、りん青銅・バネ用リン青銅板などのいわゆる伸銅品材料も、電子・電気機器分野などで広く利用されます。
さらには、ステンレスばね材(SUSバネ材)やバネ用リン青銅、ばね用ベリリウム銅などによる板バネ・薄板バネ加工も精密板金の範疇です。


精密板金で行われる薄板金属への主な加工内容

  • 金属板を切る(切断加工・カット加工)
  • 穴をあける(穴あけ加工・打抜き加工)
  • ネジ穴をあける(タッピング加工、バーリングタップ加工)
  • 穴をざぐる(ザグリ加工・皿ザグリ・皿もみ加工)
  • バリ・カエリを除去する。
  • 端面・角部などを面取りする(R面取り、C面取り・コーナーカット)
  • 金属板を曲げる(ベンディング・曲げ加工・ベンダー加工)
  • 金属板に突起・くぼみを付ける(プレス絞り加工・ダボ出し、エッチングによるハーフ加工)
  • 板と板を溶接する(溶接加工)
  • 金属板の表面を処理する(メッキ、焼付塗装、アルマイト処理、機械研磨・化学研磨など)

板金製品サンプル・製作実例

上記でご説明した精密板金加工を行うことにより、以下のような部品・製品を製作することができます。

精密板金部品の一例

精密板金・板金加工製品例
左から
1.真鍮(黄銅) C2801P t0.4/加工方法:フォトエッチング加工
2.ステンレス SUS304-#400片研(片面研磨材) t1.2/加工方法:レーザーカット+ベンダー曲げ
3.鉄板 SPCC t1.0/加工方法:NCTタレパン(タレットパンチプレス)+ベンダー曲げ
4.ステンレスばね材(SUSバネ材) t0.04/加工方法:フォトエッチング+ベンダー曲げ
5.アルミ A5052P t1.5 赤(ピンク)アルマイト処理/加工方法:NCTタレパン+ベンダー曲げ

上の例はほんの一部です。このほかにも精密板金加工による製品サンプルについては、さまざまな加工内容・材質の製作例をご紹介しております。(板金だけでなく、機械加工・切削加工品などの製作例もご紹介しています。)

詳しくは >> 精密板金加工などの製品例


精密板金・板金加工の主な加工工程(作業手順・流れ)

一般的な板金加工・精密板金加工の主な加工工程・作業手順は以下のような流れになります。
(加工内容・製品により違いはもちろんありますので一例です。)

1.設計・板金図面展開
配慮された設計と曲げ加工部品の平板への図面展開。
2.ブランク加工(展開図の加工-外形・穴加工)
├●シャーリング加工(せん断加工)、コンターカット等
├●タレパン(NCT/NCタレットパンチプレス)加工
├●レーザー加工-切断(カット)・穴あけ・彫刻等
├●ワイヤカット放電加工
├●エッチング加工(フォトエッチング加工)
└●金型プレス加工
など
3.前段加工(曲げ加工前の加工)
├●タッピング・バーリングタップ加工(近日UP)
├●皿もみ加工(皿ざぐり加工)(近日UP)
└●バリ取り(近日UP)
など
4.曲げ加工(ベンディング)(近日UP)
前段加工まで済ませた展開図形状の平らな金属板(平板)を、プレスブレーキなどのベンダー(ベンディングマシン)により折り曲げていく工程。
5.溶接加工(近日UP)
曲げ加工により成形した金属板同士を接合し、組み立て成形する工程。
6.仕上げ加工(近日UP)
溶接加工後の溶接部の仕上げを行う工程。適切な研磨機や仕上げ工具で溶接面を平らに仕上げたり、溶接焦げ跡を除去する工程。
7.メッキ、アルマイト、塗装、シルク印刷などの表面処理(近日UP)
仕上げまでの全ての加工が完了したこの時点で必要な表面処理を行う工程。
8.ビス止めなどによる組み立て・組付け
組立工程(完成品としては組み立てが必要となるようなもの)
9.検査・納品
検査・点検(仕上がり寸法チェック、数量など)が完了して納品となる。

詳しく >> 精密板金・板金加工の主な工程(作業手順・流れ)


板金材料の材質記号・種類

精密板金・板金加工や板バネ加工に使われる板金材料は、鋼板(SPCC・SPHC、SECC電気亜鉛めっき鋼板やSGCC溶融亜鉛めっき鋼板などのいわゆる処理鋼板)やステンレス鋼板に代表される鉄鋼材料と、アルミや伸銅品材料(純銅および銅合金の真鍮、りん青銅、ベリリウム銅など)に代表される非金属材料があり、具体的には次のような板金材料が挙げられます。

SPCC・SPHC鋼板・SECCやSGCCなどの処理鋼板(鉄板)(近日UP)
●SPCC(みがき材)、SECC(電気亜鉛メッキ鋼板)、SGCC(溶融亜鉛メッキ鋼板):冷間圧延鋼板
●SPHC(酸洗材):熱間圧延鋼板-酸洗材と黒皮(クロカワ)
●SS400などのSS材:一般構造用圧延鋼材(熱間圧延鋼板)
ステンレス鋼板|SUS304-2B等(近日UP)
●SUS304、SUS316:オーステナイト系-非磁性体。2B材が最も一般的、その他 #400片研材、HL材、BA材等
●SUS430:フェライト系-磁性体(磁石が着く)
ばね用ステンレス鋼帯(ステンレスばね材・SUSバネ材)|SUS304-CSP等(近日UP)
●SUS304-CSP、SUS301-CSP : オーステナイト系
●SUS420J2-CSP : マルテンサイト系
●SUS631-CSP、SUS632J1-CSP : 析出硬化系
アルミ板|A5052P等(近日UP)
●純アルミニウム(1000系): 1050、1100 等
●Al-Cu-Mg系合金(2000系合金): 2017、2024 等
●Al-Mn系合金(3000系合金): 3003、3004 等
●Al-Si系合金(4000系合金): 4032、4043 等
●Al-Mg系合金(5000系合金): 5052、5083 等
●Al-Mg-Si系合金(6000系合金): 6061、6063 等
●Al-Zn-Mg系合金(7000系合金): 等
銅板(純銅)|C1100Pタフピッチ銅・C1020P無酸素銅等(近日UP)
●無酸素銅板(C1020P)、タフピッチ銅板(C1100P)、りん脱酸銅板(C1201P・C1220P・C1221P)など。比重(密度)8.89
真鍮板(黄銅)|C2801P等(近日UP)
●C2600P : 黄銅板1種板(旧JIS記号:BSP1)/比重(密度)8.56
●C2680P : 黄銅板2種板(旧JIS記号:BSP2)/比重(密度)8.47
●C2801P : 黄銅板3種板(旧JIS記号:BSP3)/比重(密度)8.43
りん青銅・バネ用リン青銅板|C5191P・C5210P等(近日UP)
●C5191P りん青銅板 : りん青銅板2種(旧JIS記号:PBP2)/比重(密度)8.89
●C5210P ばね用りん青銅板 : 旧JIS記号:PBSP/比重(密度)8.89
ベリリウム銅板|C1720P等(近日UP)
●C1720P ばね用ベリリウム銅板 : 旧JIS記号:BeCuP2/比重8.36(時硬前:8.26)
●C1700P ばね用ベリリウム銅板 : 旧JIS記号:BeCuP1/比重8.41(時硬前:8.26)
バネ用炭素鋼帯(ばね用冷間圧延鋼帯)|SK-5(QSK-5)等(近日UP)
●QSK-5などの焼入れリボン鋼(SK焼入鋼帯)、みがき特殊帯鋼(特殊鋼の冷間圧延材)、ベーナイト鋼帯(みがき特殊帯鋼にオーステンパー処理を施した炭素鋼帯) 等

詳しく >> 板金加工材料の主な材質記号・種類


鋼板・板金材料の定尺板の種類及びサイズ・標準板厚寸法


定尺板の種類・寸法サイズ

  • 3×6(サブロク) : サイズ=914mm×1829mm
  • 1×2(メーター板) : サイズ=1000mm×2000mm
  • 3×8(サンパチ) : サイズ=914mm×2438mm
  • 4×8(シハチ) : サイズ=1219mm×2438mm
  • 5×8(ゴハチ) : サイズ=1524mm×2438mm
  • 5×10(ゴトウ、ゴットウ) : サイズ=1524mm×3048mm

小板(コイタ)の種類・寸法

  • 銅小板(C1100P、C1020P等)及び 真鍮小板 : サイズ=365mm×1200mm
  • ステンレスばね材小板(SUS304-CSP) : サイズ=320程度mm×1000mm など
  • りん青銅小板(C5191P) : サイズ=180mm×1200mm
  • ばね用りん青銅小板(C5210P) : サイズ=180mm×1200mm
  • ベリリウム銅小板(C1720P) : サイズ=200mm×1000mm

これらの定尺板は、鋼板の種類により製造されているものと、製造されていないものとがあります。


標準板厚(鋼板の標準厚さ)

このように鋼板の種類により製造されている定尺板のサイズに違いがあると共に、製造されている標準的な板厚(板の厚さ)も、鋼板により若干違いがあります。

詳しく >> 鋼板・板金材料の定尺板サイズの種類と標準板厚寸法


板金材料の費用|鋼板・板バネ材等 材質別コスト比較

上でご紹介した主な精密板金・板金加工に用いられる板金材料・板バネ用材料は、材質により材料費用ももちろん違いがあります。


精密板金・板金加工のコスト

精密板金・板金加工のコストは、基本的には材料費と加工費(管理費などを含む)を合算したものがトータルコストとなりますので、少しでも板金加工コストを安く抑えるには、製品の必要条件を満足する範囲でなるべく安い材料を選定することも大切なことです。


板金材料による材料コストの違い

鋼板や板バネ用材料など、主な板金材料の材料費コストを相対的に比較してみました。

詳しく >> 板金材料の費用|鋼板・板バネ材等 材質別コスト比較

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